Market evolution: 籐製品 (CN 46) — 2015–2025
導入
本報告書は、EUにおけるCN 46(わら、スペルト麦、その他の編組材料製品、かご細工および枝編み細工)の貿易動向を2015年から2025年まで分析するものである。この期間を通じて、EUは同製品群の純輸入国として安定した立場を維持してきたが、輸入先の多角化、輸出の急速な価値拡大、そして高付加価値セグメントへの構造シフトという3つの主要ダイナミクスが観察される。
本報告書で使用するデータおよびダッシュボードの詳細は全体概要ページを参照されたい。
1. 輸入の成長と調達先の急速な多角化
1.1 輸入総額は43.4%増加し5.5億ユーロに到達
EUのCN 46製品の域外からの輸入額は、2015年の約3.82億ユーロから2025年の約5.49億ユーロへと43.4%増加した。量ベースでは同期間に111,925トンから148,824トンへと33.0%増加しており、数量の増加率を上回る価回る価値の拡大が起きている。
| 指標 | 2015年 | 2025年 | 変化率 |
|---|---|---|---|
| 輸入額(百万ユーロ) | 382.4 | 548.5 | +43.4% |
| 輸入数量(トン) | 111,925 | 148,824 | +33.0% |
| 平均輸入単価(ユーロ/トン) | 3,417 | 3,685 | +7.9% |
輸入単価は比較的安定しており、量の拡大が価値の成長の主因であることが分かる。ただし2022年には平均単価が一時的に約4,963ユーロ/トンまで上昇している。
1.2 中国は依然最大の供給国だがシェアは低下傾向
パートナー別データによれば、中国は2015年の約2.54億ユーロ(輸入全体の約66%)から2025年には約2.89億ユーロと依然最大の供給国であるが、その成長率(+13.8%)は全体の成長率(+43.4%)を大幅に下回っており、相対シェアの低下が示唆される。
| 供給国 | 2015年(百万ユーロ) | 2025年(百万ユーロ) | 変化率 | 最大値(百万ユーロ) |
|---|---|---|---|---|
| 中国 | 253.8 | 288.9 | +13.8% | 443.5(2022年) |
| ベトナム | 59.0 | 101.1 | +71.4% | 162.5 |
| インドネシア | 28.4 | 41.5 | +46.2% | 68.5 |
| マダガスカル | 5.1 | 36.7 | +619.8% | 37.2 |
| バングラデシュ | 2.9 | 22.4 | +683.4% | 28.6 |
| インド | 3.7 | 17.3 | +361.4% | 20.0 |
| ウクライナ | 0.1 | 2.6 | +1,789.6% | 2.6 |
マダガスカル(+620%)、バングラデシュ(+683%)、インド(+361%)の急成長が特に顕著であり、南アジア・アフリカからの新規供給源の開拓が進んでいる。ウクライナも出発点が極めて小さいものの、大幅な伸びを示している。
1.3 輸入集中度は大幅に低下し供給リスクが分散された
輸入のHHI(ハーフィンダール・ハーシュマン指数、金額ベース)は、2015年の4,708から2025年の3,262へと30.7%低下した。HHIが1,000未満を「低集中」、2,500未満を「中程度の集中」とする一般的な基準に照らせば、EUの輸入は依然として「集中」の範疇にあるものの、大幅な多角化が進行している。
| 指標 | 2015年 | 2025年 | 変化率 |
|---|---|---|---|
| 輸入HHI(金額) | 4,708 | 3,262 | -30.7% |
| 輸入HHI(数量) | 4,994 | 4,087 | -18.2% |
この多角化は、EU企業によるサプライチェーンの再構築——いわゆる「中国+1」戦略——と整合的な動きと言える。
2. 輸出の劇的拡大:数量成長ではなく高付加価値化が主因
2.1 輸出額は10年間で4倍以上に増加
EUの域外へのCN 46輸出額は、2015年の約4,250万ユーロから2025年の約1.71億ユーロへと303.3%増加した。しかし同期間の輸出数量は9,258トンから10,759トンへと16.2%の増加にとどまっており、全体概要ページに示される通り、輸出単価が4,588ユーロ/トンから15,918ユーロ/トンへと247.0%上昇していることが価値拡大の圧倒的主因である。
| 指標 | 2015年 | 2025年 | 変化率 |
|---|---|---|---|
| 輸出額(百万ユーロ) | 42.5 | 171.4 | +303.3% |
| 輸出数量(トン) | 9,258 | 10,759 | +16.2% |
| 輸出平均単価(ユーロ/トン) | 4,588 | 15,918 | +247.0% |
2.2 CN 4602(かご細工製品)の輸出単価が急騰
製品セグメント別データにより、輸出の主力製品はCN 4602(かご細工・枝編み細工製品)であり、同セグメントの単価は極めて急激に上昇した。
| 年 | 4602輸出単価(ユーロ/トン) | 4601輸出単価(ユーロ/トン) |
|---|---|---|
| 2015 | 4,459 | 4,819 |
| 2017 | 5,822 | 6,383 |
| 2019 | 9,023 | 3,994 |
| 2021 | 9,809 | 4,226 |
| 2022 | 13,489 | 6,076 |
| 2023 | 17,132 | 4,814 |
| 2025 | 22,651 | 4,061 |
CN 4602の輸出単価は10年間で約5倍(+408%)に上昇し、2025年には22,651ユーロ/トンに達した。これは、EU企業が低価格なかごから高品質なインテリア用品やデザイナー家具への製品シフトを進めたことを示唆する。一方、CN 4601(編組材料・マット類)の輸出単価は大きな変動は見られるものの、2025年には4,061ユーロ/トンとむしおろ低下している。
2.3 アメリカ合衆国とEU域内再輸出先の急成長
国別輸出データを見ると、輸出先の構造に劇的な変化が起きている。
| 宛先国 | 2015年(百万ユーロ) | 2025年(百万ユーロ) | 変化率 |
|---|---|---|---|
| イタリア | 1.8 | 49.2 | +2,650% |
| アメリカ合衆国 | 1.4 | 37.4 | +2,495% |
| フランス | 7.6 | 37.5 | +394% |
| イギリス | 10.2 | 24.0 | +136% |
| スペイン | 3.2 | 26.3 | +729% |
| トルコ | 0.9 | 7.2 | +706% |
| スイス | 9.3 | 17.3 | +86% |
特に注目すべきは、アメリカ合衆国とイタリアへの輸出の急拡大である。イタリア(EU域内貿易ではない点に注意)への輸出が最大の増加を示しており、高級な編組製品の北米・南欧市場での需要拡大が読み取れる。
EU域内の主要輸出国を見ると、フランス、スペイン、イタリアが報告者別データにおいて最も高い輸出成長率を示しており(それぞれ+394%、+729%、+2,650%)、南欧諸国の特化が際立っている。
3. 変動と脆弱性:構造的な輸入依存は解消されず
3.1 純輸入依存度は約89%でほぼ変化なし
脆弱性指標データによれば、EUのCN 46純輸入依存度は2015年の89.1%から2025年の89.4%へと実質的に変化していない。2020年には93.1%まで一時上昇(コロナ禍の輸出停滞が影響か)したが、2022年以降は再び水準に落ち着いている。
| 指標 | 2015年 | 2025年 | 最小値 | 最大値 |
|---|---|---|---|---|
| 純輸入依存度(%) | 89.1 | 89.4 | 86.2(2023年) | 93.1(2020年) |
EUの域内生産は生産データによれば約20百万トンで横ばいであり(金額では4,030万ユーロから4,800万ユーロへ+19.1%)、域内需要の大半を域外からの輸入で賄っている。
3.2 中国からの輸入における2022年の価格ショック
ボラティリティ・ショック分析によれば、2022年に中国からの輸入に価格ショックが検出された(異常度2.9、価格シフト+45.4%)。同年の中国からの輸入額は4.43億ユーロと過去最高を記録している。これは世界的な物流コストの上昇や原材料価格の高騰と関連している可能性がある。
一方、輸出ではトルコ宛ての2017年の価格ショック(異常度5.3、+57.2%)が最も大きなイベントとして検出されている。
3.3 輸出意向率の急上昇が示す構造変化
脆弱性指標によれば、輸出意向率(EU域内生産に対する域外輸出の比率)は2015年の約65%から2025年の約317%へと約5倍に急上昇している。これは、EU域内の生産量が横ばいである中、域外輸出が生産規模を大幅に超えて拡大していることを意味する。
| 指標 | 2015年 | 2025年 | 変化率 |
|---|---|---|---|
| 輸出意向率(%) | 65.0 | 317.5 | +388.6% |
| 貿易集約度(%) | 96.4 | 117.2 | +21.6% |
この現象は、EU企業が域外から原材料や中間財(CN 4601)を輸入し、それらを高付加価値製品(CN 4602)に加工して再輸出する「中継加工」モデルへの転換を反映している可能性が高い。4601の輸入量が約64,000トン(2025年)であるのに対し、4602の輸出量は約6,861トンと、より小さな規模ではあるが、単価の劇的な違い(4602輸出単価22,651ユーロ/トン vs 4601輸入単価1,472ユーロ/トン)がEUの加工貿易の収益性を物語っている。
結論
2015年から2025年にかけて、EUのCN 46市場は3つの主要なトレンドによって特徴づけられる。
第一に、輸入面では供給源の多角化が進行し、中国への集中度は低下したが、中国依然是最大の供給国であり、全体の純輸入依存度(約89%)はほぼ変化していない。
第二に、輸出面では劇的な高付加価値化が起き、数量のわずか16%増に対して価値は303%増となった。特にCN 4602セグメントの輸出単価は5倍に上昇し、アメリカ合衆国やイタリアへの高級品輸出が急拡大した。
第三に、EU企業は域外の中間素材を加工して域外に再輸出するモデルへと構造的に移行しつつあり、輸出意向率の急上昇がこれを裏付けている。
全体として、EUの籐製品市場は「低価格な完成品を大量に輸入し、高付加価値なデザイン製品を輸出する」という二極化した構造が明確になっており、グローバルバリューチェーンにおけるEUのポジションの変化を如実に示している。