Market evolution: 食用野菜及び根菜類 (CN 07) — 2015–2025
Introduction
本報告書は、EU関税分類コード07(食用野菜及び根菜類)に属する製品のEU域外貿易動向を、2015年から2025年まで分析するものである。CN 07は、新鮮または冷蔵のジャガイモ、トマト、玉ね類、キャベツ、レタス、ニンジン、キュウリ、豆類、冷凍野菜、乾燥豆類など、広範な野菜カテゴリーを網羅している概要と定義。期間を通じて、EUは総じて純輸出国であったが、輸入の急成長によりその純輸出規模は大幅に縮小した。本報告では、主要な市場の構造変化、輸出入の数量・価値の動向、そしてサプライチェーンの脆弱性について分析し、三つの主要な動態を特定する。
1. 輸入の急成長と供給源の地理的シフト
EUの域外輸入は、2015年から2025年にかけて価値(79.1%増)と数量(56.3%増)の双方で顕著な成長を見せた。この成長を主導したのは、地中海沿岸諸国や新興供給国であった。
主要輸入相手国の急速な拡大
2025年時点の輸入額上位7か国の動向を見ると、モロッコとトルコが際立った成長を示している。
| 国名 | 2015年輸入額 (EUR) | 2025年輸入額 (EUR) | 変化率 (%) |
|---|---|---|---|
| モロッコ | 815,308,036 | 1,688,452,686 | +107.1 |
| エジプト | 238,460,575 | 774,042,057 | +224.6 |
| トルコ | 239,931,445 | 771,337,059 | +221.5 |
| 中国 | 470,392,148 | 736,248,024 | +56.5 |
| 主要な輸入相手国 |
モロッコは、最大の輸入相手国としての地位を確立し、その輸入額は倍増以上となった。これは、EUの近接性を活かした新鮮野菜の供給網強化と、EU域内の季節的な供給ギャップを埋める役割の反映である可能性がある。一方、英国のEU域外からの輸入額は29.4%減少し、3番目の主要供給国から5番目に後退したBrexitの影響が示唆される。
輸入品目の構造と価格動向
輸入数量の内訳では、乾燥豆類(CN 0713)、トマト(CN 0702)、およびジャガイモ(CN 0701)が上位を占めている。特に乾燥豆類の輸入数量は2023年にピークに達した後やや減少したが、その平均価格は期間中に大幅に上昇(934 EUR/tから1,040 EUR/tへ)している。トマトの輸入平均価格は970 EUR/tから1,777 EUR/tへと著しく上昇し、高付加価値化の傾向が見られるセグメント比較。
2. 付加価値化による輸出の価値成長と量的停滞
EUの域外輸出は、数量が5.0%減少したのに対し、価値は37.8%増加した。これは、輸出製品の平均価格が802 EUR/tから1,164 EUR/tへと上昇したことに起因し、輸出の高付加価値化が進んだことを示している。
安定した主要輸出先と新興市場への展開
輸出額で圧倒的な最大の相手国は英国であり、その輸出額は35.8%増加した。スイスやノルウェーといった欧州自由貿易連合(EFTA)諸国への輸出も堅調に成長している。
| 国名 | 2015年輸出額 (EUR) | 2025年輸出額 (EUR) | 変化率 (%) |
|---|---|---|---|
| 英国 | 2,573,347,732 | 3,493,713,886 | +35.8 |
| スイス | 407,790,609 | 705,201,713 | +72.9 |
| ノルウェー | 284,434,016 | 388,537,929 | +36.6 |
| 米国 | 256,389,919 | 401,699,313 | +56.7 |
| 主要な輸出相手国 |
特に注目すべきは、コートジボワールへの輸出が182.9%増、セネガルへの輸出が50.6%増と、西アフリカ市場への展開が顕著である点である。これは、EUの冷凍野菜(CN 0710)や加工野菜の輸出競争力の向上を示唆している可能性がある。
EU域内の輸出における専門化と集中度
EU域内の輸出をリードするのは、比較優位(RCA)の高いスペイン(RCA 4.85)とオランダ(RCA 1.79)である専門化指標。輸出市場の集中度(HHI)は約2,500で推移しており、中程度の集中状態にあるが、若干の低下傾向(-1.5%)が見られ、輸出先の少しずつの多様化が起きていることを示唆する集中度HHI。
3. 市場構造の変化と供給ネットワークの脆弱性
この期間を通じて、EUの野菜市場は、域内生産の拡大、貿易への依存度の変動、そして特定の供給国に起因する価格ショックの発生という構造変化を経験した。
域内生産の拡大と貿易の深化
EUのCN 07製品の域内生産量は42.7%増加し、生産額は81.7%増加した生産量。これは、域内の供給能力が強化されたことを意味する一方で、貿易強度(域内生産に対する総貿易額の比率)も19.5%から31.2%へと上昇し、EU経済が野菜貿易により深く統合されていることを示している貿易強度。
純輸入依存度の変動と供給ショックの顕在化
2015年に1.9%であった純輸入依存度(輸入から輸出を差し引いたネットの依存度)は、2025年には-1.7%へと転じ、純輸出国としての立場は維持したものの、その余裕は大幅に縮小した純輸入依存度。
供給の脆弱性は、主要な輸入相手国からの取引の変動係数(CV)からもうかがえる。ロシア連邦(CV 0.98)やウクライナ(CV 0.84)からの輸入は極めて変動が大きいボラティリティ。2022年には、セネガルからの輸出における価格ショック(異常度28.9、価格シフト65.3%)やトルコからの輸入における価格ショック(異常度9.1、価格シフト27.5%)が検出された供給ショック。これらのショックは、特定の輸送路や供給国に集中するリスクを浮き彫りにしている。
Conclusion
2015年から2025年にかけて、EUの食用野菜および根菜類(CN 07)市場は、三つの主要な動態により再構成された。第一に、輸入は地中海沿岸諸国を中心として数量と価値の両面で急成長し、供給源の地理的なシフトが生じた。第二に、輸出は数量の停滞にもかかわらず、高付加価値化戦略により価値を伸ばし、特に近隣市場での地位を維持しつつ、新興市場へも展開を広げた。第三に、域内生産は拡大したものの、貿易への依存度は深まり、特定の供給国における価格の変動やショックに対する脆弱性が顕在化した。これらは、EUの食料安全保障とサプライチェーンのレジリエンスを強化するための政策立案において、考慮すべき重要な教訓を提供している。